「独立して自分のパーソナルジムを開業したい」と思っている方、必要な準備や資金について、具体的なイメージができていますか?
ジムに通う目的は多様化し、パーソナルジムの市場規模は拡大しつつあります。
将来性が見込める分、競争も激しいものになるため、開業する際は自身が経営する店舗の明確なビジョンを持つことが重要になります。
今回は、独立してパーソナルジム開業を考えている方へ、開業のメリットと開業方法、開業資金の準備、開業準備のポイントについて紹介します。
ポイントを押さえて、パーソナルジム開業の成功イメージを掴みましょう。
パーソナルジムを開業して儲かる?その将来性について
パーソナルジムを開業して、儲かる見込みはあるのでしょうか?
開業における将来性と市場規模、年収について紹介します。
パーソナルジム開業の将来性
コロナ渦の影響で落ち込んでいたフィットネスクラブの売上高・利用者数も、2022年には上昇傾向にあります。
行動制限緩和を受け、今後はコロナ渦以前の勢いを取り戻すことが期待されるため、将来性は十分にあると言っていいでしょう。
コロナ渦以前は従来の総合型フィットネスジムが主流でした。
しかし、コロナ渦以降は感染リスクを避けたい人や、在宅ワーカーの増加などを理由に、パーソナルジムをはじめとした新たな業態のフィットネスジムが浸透してきています。
ジムを利用する年代は広がりを見せている
ジムに通う目的が多様化し、減量やボディメイクだけに限らず、健康促進を目的とした人たちも増えています。
高齢化社会が進行する影響で、「ジムの利用者は減少するのではないか?」とイメージされる方も少なくないかもしれません。
しかし、中高年世代の利用者が増えており、今後も人々の目的に合わせてパーソナライズされたサービスを提供できるトレーニング需要が高まっていくことが予想されます。
中高年世代を狙い撃ちしたパーソナルジムが増加していくことも考えられるでしょう。
独立したパーソナルトレーナーの年収
独立して開業した場合の年収は、人によって異なるので厳密な計算は難しいです。
しかし、集客に成功すればパーソナルトレーナーの年収は1,000万円以上を目指すことも十分に可能です。
ただし、集客や経営のスキルも必要になるため、年収を上げることはそう簡単なことではありません。
店舗を持てば、月々の固定費や変動費などの経費も生じます。
独立開業するなら、トレーナーとしての実績を積み、安定的な集客が見込める段階に踏み込んでからがいいでしょう。
パーソナルジム開業のメリット
独立してパーソナルジムを開業するメリットには、次の3つが挙げられます。
- 開業のハードルが低いこと
- 低予算での開業が可能なこと
- 自分らしい働き方ができること
この3つの詳細について紹介していきましょう。
必須の資格がなく、開業のハードルが低い
パーソナルジムを開業するために必要な資格はありません。
資金さえ確保すればすぐに開業することができるので、開業のハードルは低いものとなっています。
ただし、資格や実績を保有していることは信頼性の担保にもなります。
お客様に安心してトレーニングを受けていただくためにも、実績や資格を取得しておくことをおすすめします。
低予算での開業が可能
パーソナルジムは小規模の開業経営にも適しており、機材購入・店舗改装・ビジネス登録など、基本的な費用しかかかりません。
また、パーソナルジムはマンションの一室やレンタルスペースで開業でき、必ずしも大型のマシンを必要とするわけではありません。
開業するパーソナルジムの規模にもよりますが、他のビジネスより比較的低予算でスタートすることが可能です。
独立によって自分らしい働き方が可能
従業員時代にはできなかった、柔軟な時間の使い方と働き方が可能になります。
自身のパフォーマンスを最大限に発揮できる働き方を組むこともできるようになります。
また、オンラインパーソナルトレーニングを始める場合は、通勤時間を気にする必要もなくなるでしょう。
ただし、独立してすぐは収入が安定せず、顧客の獲得などが上手くいかずに経営面で苦労する場面にも遭遇します。
自由になった分、自分が背負う責任も大きくなる点は留意しておいてください。
開業する際の届出を提出
個人事業主としてパーソナルジムを開業する際は、開業してから1ヶ月以内に、納税地の税務署に次の書類を提出します。
- 開業届
- 個人事業開業申告書
- 青色申告承認申請書
開業届を提出しなくてもパーソナルジムをスタートすることは可能ですが、青色申告で控除額が増えるので、届出を提出しておくことをおすすめします。
開業資金の初期費用・運転費用の目安
パーソナルジム開業に必要な初期費用の目安は300万円〜400万円、運転資金の目安は月30万円~80万円とされています。
パーソナルジム開業に必要な初期費用・運転費用の内訳を紹介しましょう。
初期費用の内訳
開業にかかる初期費用の目安は300万円~400万円です。
その内訳として、一般的に次のものが挙げられます。
物件費用 | 家賃×6ヶ月分 |
内装工事費 | 200万円~500万円程度 |
宣伝・広告費 | 30万円~50万円 |
マシン費用 | 50万円~100万円程度 |
ただし、物件費用は都心か地方かで大きなコスト差が生じるほか、防音設備の有無など、物件の条件によってだいぶ変わってきます。
賃料を安く済ませたい気持ちもあると思いますが、物件選びの際は騒音対策や床の耐荷重の確認をしておきましょう。
後々、クレームが入ると即刻退去となり、顧客離れや移転費用などの痛手を負うことになりかねません。
運転資金(ランニングコスト)の内訳
パーソナルジムのランニングコストの目安は月30万円~80万円です。
その内訳として、参考までに次のものが挙げられます。
賃料 | 10万円~15万円 |
水道光熱費 | 4万円~5万円程度 |
広告・宣伝費 | 10万円~20万円 |
人件費 | スタッフを雇う場合 |
マシンの種類や数によってはメンテナンス費を必要とする場合もあります。
また、広告・宣伝費にどれだけかけるかによって、コストも変動するでしょう。
スタッフを雇用する場合は、研修費や人件費などもかかってきます。
なお、運転資金は6ヶ月分は確保しておきたいところです。
開業直後は収支が安定しません。
経営が軌道に乗るまでの生活費も含めて準備しておくことをおすすめします。
開業資金の調達方法
独立を目指すなら、開業資金の準備が必要になります。
パーソナルジムの開業資金の調達におすすめの方法は次の2つです。
- 自己資金を貯める
- 公的融資を受ける
この2つの方法の詳細について紹介しましょう。
まずは自己資金を貯める
自己資金の活用は、負債を抱えなくて済むので最も低リスクです。
しかし、開業費用をすべて自己資金で賄おうとすると、相当な金額を貯めなければなりません。
J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト)「起業マニュアル」によれば、開業費用の3~5割程度の自己資金額を準備することを促しています。
また、ある程度の自己資金を用意することは、日本政策金融公庫の融資制度を利用する要件の1つにもなっているため、まずは自己資金を貯めましょう。
公的融資を受ける
日本政策金融公庫は、事業に取り組む人たちを支援する政策金融機関です。
パーソナルジム開業の際も、融資制度を利用することが可能となっています。
審査が比較的通りやすく、新創業融資制度では無担保・無保証で借り入れできる上に低金利となっています。
利用要件の1つに、「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」とあります。
公的融資制度を利用するためにも、自己資金はできるだけ用意しておく必要があります。
フランチャイズ契約によるサポートを受ける方法もある
パーソナルジムを開業する際は、フランチャイズを利用する方法もあります。
フランチャイズの場合、加盟料やロイヤリティを支払う必要がありますが、本部の知名度を利用できるため、集客しやすいというメリットがあります。
また、パーソナルジムの経営に必要なノウハウの提供を受けられるため、業界や起業が未経験の方でも挑戦しやすくなっています。
大手のパーソナルジムとフランチャイズ契約を結ぶことで、資金面の援助やアドバイスを受けることも可能。
開業を考えている方は、フランチャイズの利用も検討してみてください。
失敗しないためには?パーソナルジム開業に向けた準備の要点
パーソナルジムを開業する前に、どんなジムを作り、どのようなお客様に向けたサービスを提供できるのかを考えておく必要があります。
パーソナルジム開業の準備において基本となる、3つの要点を紹介しましょう。
ターゲットを絞っておく
どのようなお客様にトレーニングを提供するのか、ターゲットを絞って考えていきましょう。
「誰でも通いやすいパーソナルジムを作る」といったような広く浅いイメージだと、競合との差別化が難しくなります。
お客様に「ここでトレーニングしたい!」と思ってもらうためには、具体的なペルソナ(人物像)を設定し、その人に訴求できるプランを検討します。
狙うターゲット層によって、お店のコンセプトや立地条件が変わってくるため、まずはターゲットを考えることをおすすめします。
事前にエリア内の競合リサーチを済ませる
開業する地域周辺のパーソナルジムを事前にリサーチすることも重要です。
競合店のコンセプト、価格設定、繁盛具合、地域の住民の属性など、あらかじめ調べておかないと集客に苦労することになるでしょう。
たとえば、
- 自身のお店と似たコンセプトの競合店はないか?
- 狙ったターゲット層が住んでいる地域なのか?
といった点にも注目しましょう。
その地域で集客が見込めるかどうかは、開業する上で非常に大切なポイントです。
価格設定はバランスを重視
競合リサーチを踏まえ、パーソナルジムの価格設定を考えましょう。
間違った価格設定は経営難の原因となります。
他店との差別化がしっかりできていれば問題ありませんが、開業直後から高めの料金を設定すると、お客様は競合店に流れてしまうリスクがあります。
かといって、価格競争に巻き込まれると経営が苦しくなってしまいます。
競合リサーチの結果と照らし合わせ、提供できるサービスと料金のバランスがとれた価格設定をすることが肝心です。
効果的な集客方法を活用しよう
開業直後は資金繰りの問題もあり、宣伝・告知に使える費用も限られてくるでしょう。
パーソナルジム開業当初に有効な集客方法を3つ紹介します。
SNS運用で認知拡大
今やSNSの運用は集客に欠かせない方法の1つです。この宣伝方法は費用がかからないため、独立したばかりの頃はどんどん活用しましょう。
Facebookを利用すれば、友人・知人に共有してもらうことも可能です。
また、Instagramなどでトレーニング方法や食事メニューなど、お客様にとって有益な情報を発信し続けることでジムに興味を持ってもらうきっかけになります。
トレーナーの人間性を知ってもらうことは、利用を考えているお客様の安心感にもつながるでしょう。
ホームページ&ブログの更新
パーソナルジム開業に伴い、ホームページやブログを用意して集客を図るのは基本的な方法です。
ホームページから次のような情報が確認できることは、閲覧者に安心感を抱いてもらう上で重要です。
- トレーニング内容
- 料金プラン
- ジムへの交通アクセス
- ジムのコンセプト
また、ブログから閲覧者にとって役立つ情報を発信することで、信用度を高めることができます。
無料で情報を発信することに抵抗がある方もいるかもしれませんが、集客効果アップに貢献してくれる大切なポイントでもあります。
色んなキーワードからアクセスしてもらいやすくなれば、SEO対策としても効果的でしょう。
無料カウンセリングやキャンペーンを実施する
無料カウンセリングやキャンペーンを実施することで、パーソナルジム入会のハードルを下げる効果が期待できるでしょう。
ジムに通うことで実際に成果が上げられるか不安なお客様に寄り添ったり、初回体験無料キャンペーンを実施したりすることで入会者の獲得につながります。
気軽に参加できる機会があれば、ジムの雰囲気を知っていただくチャンスが生まれますので、開店当初やキャンペーン実施時の告知にも力を入れましょう。
まとめ
独立を考えている人に向けた、パーソナルジム開業の将来性や方法について紹介しました。
成功させるために必要なのは、自分の強みを整理して考え、どのようなパーソナルジムを作っていくのかを洗い出すことです。
パーソナルジムでの集客には、インターネットを活用することも重要です。
事前の開業準備と、積極的な情報発信によって、集客を成功させていきましょう。
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