切らないたるみ治療として人気の『ハイフ(HIFU)』をご存知ですか?
現在、ハイフ(HIFU)でやけどを負ったとして、賠償を求めた裁判が始まったとの報道を受けてその存在を知った、リスクを知ったという方も少なからずいるでしょう。
2024年6月から、エステサロンでのハイフ(HIFU)施術は違法となりました。禁止となった背景には、ハイフ(HIFU)をめぐる、あらゆる問題があったのです。
利用者がリスクを十分に認識することはもちろん、エステサロンの経営者も、禁止の旨を知らなかったでは済まされません。
ハイフ(HIFU)が抱える問題、そして、注意喚起が行き渡らない美容業界の実態について、分かりやすくまとめました。
今回は、ハイフ(HIFU)をめぐるトラブルについて、治療院・パーソナルトレーニングの店舗運営のサポートを行っているJMTA(一般社団法人日本メディケアトレーナー協会)が解説します。
ハイフ(HIFU)問題に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
美容医療ハイフ(HIFU)とは?
ハイフ(HIFU)とは、『High Intensity Focused Ultrasound』の頭文字をとった略称です。
日本語では『高密度焦点式超音波療法』と呼ばれています。
顔のリフトアップや引き締め効果を得られる美容施術のことで、切らないたるみ治療として人気を集めています。
施術時間が短く、肌へのダメージも少ないことがメリットとされています。
本来は、集束超音波の熱エネルギーにより、体内の組織を加熱するもので、前立腺がん治療などに使われます。
2024年6月からはエステサロンでのハイフ(HIFU)施術は事実上禁止に
厚生労働省は2024年6月7日、医師免許を持たない者のハイフ(HIFU)施術は医師法に違反する旨を通知しました。
出典:厚生労働省ウェブサイト|医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について
また、実施場所についても、医療提供施設で行うことを明示しています。
事実上、エステサロンでのハイフ(HIFU)施術を禁止したのです。
ハイフ(HIFU)が禁止された背景について、説明していきましょう。
【背景①】ハイフ(HIFU)をめぐるトラブルの多発
ハイフ(HIFU)をめぐっては、
- やけど
- 顔の神経損傷による麻痺・しびれ
- 手のしびれ
- 急性白内障
などの事故が多発しています。
消費者庁の消費者安全調査委員会の経過報告(令和4年7月26日)によると、ハイフ(HIFU)施術による事故は、事故情報データバンクには2015年11月~22年5月までの間に110件が寄せられています。
傷病内容 | エステサロン | セルフエステ | 美容クリニック | 計 |
神経・感覚の障害 | 6 (3) | 3 (3) | 4 (2) | 13 (8) |
皮膚障害 | 14 (1) | 1 | 8 | 23 (1) |
熱傷 | 33 (9) | 3 (1) | 9 | 45 (10) |
その他 | 23 (2) | 1 | 5 | 29 (2) |
計 | 76 (15) | 8(4) | 26 (2) | 110 (21) |
※表中の( )は傷病の程度が1か月以上の事故件数を示しています。
110件中76件がエステサロンと最も多く、医療機関(美容クリニック)やセルフエステでも事故が発生していることがわかります。また、事故の97%は女性で、特に30歳代に目立つとのことです。
なお、事実上の禁止が通知された後も、ハイフ(HIFU)施術を提供するエステサロンはなくならず、こうした事故は現在進行形で増えています。
法令遵守の意識が低いエステサロンのハイフ(HIFU)施術の安全性など、推して知るべしでしょう。
【背景②】施術者の知識不足
ハイフ(HIFU)施術は、美容機器を使った施術の中でも、最も顔の神経障害を起こす可能性が高い施術であると考えられています。
切らないたるみ治療というだけあり、機器を顔に当てるだけのイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、神経や血管の位置を熟知していなければ、その部分も熱してしまうのです。個人の脂肪の厚みも考慮して施術しなければなりません。
これだけでも、ハイフ(HIFU)の施術には解剖学的知識と高い技術を要し、また、ハイフ(HIFU)機器の原理や特性を把握している必要があることが分かるでしょう。
したがって、知識・教育の不足や、リスクへの認識が薄いエステサロンでの施術はハイリスクですが、利用者にも施術者にも充分に認識されていないのが実態です。
参考:消費者庁ウェブサイト|消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書【概要】 −エステサロン等での HIFU(ハイフ)による事故−(令和5年3月29日)
【背景③】信頼性の低いハイフ(HIFU)機器が使用されている問題
そもそも、美容医療を目的としたハイフ(HIFU)機器は、日本では承認を得ていません。国内のハイフ(HIFU)機器はほとんどが輸入品で、本来は医師しか個人輸入を行えないものです。
では、医師のいないエステサロン等がどうやって機器を調達しているかというと、ハイフ(HIFU)機器を医療機器ではない製品とすることで輸入されていると推定されています。
そのためか、機器の故障の把握ができないような、信頼性の低い機器も出回っています。海外サイトから、雑品として個人で購入していた事例も確認されています。
2017年には、ハイフ(HIFU)を販売した業者が薬事法違反容疑で逮捕されて有罪判決を受け、それから何度も注意喚起されてきましたが、それでも流通に歯止めがかかりませんでした。
こうした法規制をくぐり抜けて輸入・製造販売されている問題を受け、厚生労働省は2023年3月31日に、HIFUに関する監視指導の徹底を図るよう通知。
そして、2024年6月にはエステサロンでのハイフ(HIFU)施術が事実上禁止される運びとなったのです。
参考:厚生労働省ウェブサイト|HIFUに関する監視指導の徹底について(令和5年3月31日)
参考:消費者庁ウェブサイト|消費者安全法第23条第1項の規定に基づく 事故等原因調査報告書 エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故(令和5年3月29日 )
利用したいならリスクをしっかり認識しておくこと
『【背景①】ハイフ(HIFU)をめぐるトラブルが多発』でも説明したように、医療機関である美容クリニックでも事故が発生しているのが実態です。
クリニックなら手放しで安心してハイフ(HIFU)施術を受けられるわけではないのです。また、利用者がハイフ(HIFU)のリスクを認識していないこともまた、事故の原因の1つと考えられています。
ハイフ(HIFU)を受けたいなら、利用者側もハイフ(HIFU)施術のリスクを充分に把握した上で、安全への意識が高く、施術経験豊富なクリニックを探すことが大切です。
リスクの詳細について、まずは消費者庁ウェブサイトが発信する情報をご覧ください。
消費者庁ウェブサイト|エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故
まとめ
ハイフ(HIFU)は2024年6月から、エステサロンで事実上禁止とされました。
その背景には、
- 健康被害が多発していること
- 解剖学的知識と高い技術が求められるにも関わらず、それを持たない施術者が多いこと
- 信頼性の低いハイフ(HIFU)機器が流通し、使用されている実態があること
などが挙げられます。
いまだにハイフ(HIFU)を提供しているエステサロンも少なくないようですが、目先の利益にとらわれて、社会から信用を得られない企業は長続きしません。
我々の仕事はお客さまあってのものです。だからこそ、お客さまに常日頃から感謝をし、喜んでもらえるための努力をし続けなければなりません。
施術者として施術を行う以上、お客さまには安心安全なサービスを提供できるように心がけていきましょう。
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