「整骨院の開業にはどのような資格や条件が必要?」
「柔道整復師のほかに、取得すると有利な資格はある?」
「柔道整復師として、さらにスキルアップしていくためにはどうすればいい?」
このように、独立開業の前も後も、先々の悩みは尽きないことでしょう。
生き残る柔道整復師になるためには、ダブルライセンスの取得(資格の組み合わせ)をおすすめします。
そこで今回紹介するのは、整骨院開業に必要な資格・条件をはじめ、スキルアップに役立つおすすめ資格6つです。
整骨院開業を考えている方、業界で長く活躍したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事は、徒手療法と運動指導によって、クライアントの身体を変えていける「メディケアトレーナー」の育成を行っているJMTA(一般社団法人日本メディケアトレーナー協会)が解説します。
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整骨院を開業するために必要な3つの条件
整骨院・接骨院の開業には『柔道整復師』の国家資格に加え、
- 柔道整復師としての実務経験
- 施術管理者研修の受講
の2つが必要となっています。
以前は柔道整復師の資格をとればすぐに開業できましたが、2018年4月以降、上記2つの要件クリアが義務付けられました。
それぞれの資格について解説していきましょう。
柔道整復師免許を取得するためには?
柔道整復師になるためには、
- 4年生大学(文部科学省指定)
- 専門学校(3年)
を卒業し、国家資格の受験資格を得る必要があります。
受験資格を得て国家試験に合格することで、柔道整復師免許を取得できます。
受領委任で健康保険を取り扱うための2つの要件について
受領委任で健康保険を取り扱う場合、「施術管理者」の要件(以下表参照)を満たさなくてはなりません。
実務経験 | 2024年4月以降に届出する場合:3年間の実務経験 |
施術管理者研修の受講 | 2日間程度の研修(費用:20,000円) |
受領委任の届出を行う際は、従来の書類に加えて、以下の書類の添付が必要です。
- 実務経験期間証明書の写し
- 施術管理者研修修了証の写し
実務経験の期間の証明方法など、詳細は以下の全国柔整鍼灸協同組合HPをご覧ください。
参考:全国柔整鍼灸協同組合HP:受領委任で健康保険を取り扱うための「施術管理者」になるための要件
柔道整復師のさらなるスキルアップに役立つ資格は何か?
競争が激しいこの業界で活躍するためには、ダブルライセンスの取得がおすすめです。
開業して落ち着いてきたら、さらなる資格の取得を検討してみましょう。
柔道整復師と相性の良い資格について、合計6つ紹介します。
おすすめの国家資格3つ
まずは柔道整復師のスキルアップにおすすめの国家資格から紹介します。
鍼灸師:体調不良のケアや予防が可能になる
スキルアップを目指す中でも特におすすめなのが『鍼灸師』の資格です。
この資格を取得することで、患者さまへのより良い治療の提供が可能になり、治療の幅も広がります。
鍼灸師の資格を持つことで、患者さんへの施術方法に多様性を持たせることが可能になります。
鍼や灸は、体の深部にある筋肉や経絡に作用するため、手技だけでは対処できない慢性的な痛みや不調を和らげるための施術が行えます。
柔道整復師がケガの回復をサポートする専門家であることに対し、鍼灸師は体調ケアやケガ予防、コンディション維持をサポートできる資格であると言えるでしょう。
この2つを組み合わせることで、スポーツ現場などでの活躍・体調不良の治療など、キャリアや治療の幅が広がります。
理学療法士:より専門的なリハビリを可能にする
『理学療法士』はリハビリの専門家です。
患者さまの運動機能を改善するための専門的な知識と技術を駆使し、身体に障がいがある人等に対して自立した日常生活が送れるようサポートします。
この資格により、柔道整復師としての治療技術に加えて、より専門的なリハビリテーションを提供することができます。
病院やクリニックだけでなく、介護施設やスポーツチームでの需要も高まっています。
柔道整復師としてのスキルアップはもちろん、キャリアパスを広げるためにも、理学療法士の資格は役立つでしょう
介護福祉士:介護・福祉の現場での需要増加が見込まれる
『介護福祉士』の資格取得により、高齢者や障害を持つ人々への理解を深め、より幅広い医療・福祉サービスを提供するための知識と技術を身につけられます。
高齢者施設・介護施設には機能訓練指導員の配置が必須で、柔道整復師も機能訓練指導員として活躍しています。
ここに、介護福祉士の資格を加えることで、さらに多様な介護・福祉の現場で活躍できる機会が増えるでしょう。
高齢化社会に伴い、この先の需要の増加も予想される資格の組み合わせです。
おすすめの民間資格3つ
柔道整復師とスポーツトレーナーの相性は良く、柔道整復師×スポーツトレーナーのダブルライセンス所有者も増えてきています。
続いて、柔道整復師のスキルアップにおすすめの民間資格3つを紹介していきましょう。
トレーニング指導者資格(JATI-ATI):幅広いフィールドでの活躍が可能に
トレーニング指導者(JATI-ATI)は日本トレーニング指導者協会(JATI)認定資格3種類の中で、最も初級に位置する基礎資格です。
JATIの説明で、
一般人からトップアスリートまで、あらゆる対象や目的に応じて、科学的根拠に基づく適切な運動プログラムの作成と指導ができる専門家であることを証明する資格です。
〔……〕スポーツ選手や一般人を対象としたトレーニング指導の専門家として活動するための基礎資格として位置づけられます。」
(引用:日本トレーニング指導者協会HP)
とあるように、アスリートから高齢者のトレーニング指導まで、幅広く活躍できるでしょう。
アスレティックトレーナー(JSPO-AT):スポーツ界で活躍するエキスパートへ
柔道整復師×トレーナーの相性の良さから注目したいのが、『アスレティックトレーナー』。
スポーツ選手のケアを専門とするプロフェッショナルです。
怪我の予防やリハビリテーション、パフォーマンス向上のためのトレーニング方法など、ベストパフォーマンスを引き出すためのサポートをします。
アスレティックトレーナーは、スポーツ医学に関する専門的な学びが必要です。
特に、現場での緊急対応や選手の健康管理など、実践的なスキルが重要視されます。
『日本スポーツ協会(JSPO)』が認定する資格で知られており、理論試験と実技試験の2種類の試験から構成。
合格率は、
- 実技試験で70%前後
- 理論試験で20~30%前後
と言われており、厳しい試験をクリアする必要があります。
スポーツ界で活躍したいと思っている柔道整復師として、更なるキャリアアップを目指したい方におすすめです。
メディケアトレーナー:身体を総合的に診るスキルで患者さまの悩みを解消
メディケアトレーナーとは、『一般社団法人メディケアトレーナー協会』の認定資格で、JMTAの『メディケアトレーナー養成アカデミー』卒業時に発行される資格です。
身体を総合的に診るスキルが習得でき、
- 痛みのケア
- 姿勢矯正
- 機能改善
- ボディメイク
- 整体
- 栄養
- 経営
など、幅広い項目が学べます。
独立開業を考えている方はもちろん、柔道整復師のさらなるキャリアアップ&競合との差別化に役立つでしょう。
スキルアップにおすすめの各資格の合格率一覧
柔道整復師の合格率も含めた、おすすめの各資格の合格率を以下の表にまとめています。
取得する資格を考える時に、取得の難易度(合格率)で考える手もあります。
自分の進みたい分野と合わせて考えるといいでしょう。
柔道整復師 | 66.4%(令和6年) | 厚生労働省HP:第32回柔道整復師国家試験の合格発表について |
鍼灸師(はり師・きゅう師) | はり師69.3%/きゅう師70.2%(令和6年) | 厚生労働省HP:第32回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について |
理学療法士 | 89.2%(令和6年) | 厚生労働省HP:第59回理学療法士国家試験及び第59回作業療法士国家試験の合格発表について |
介護福祉士 | 82.8%(令和6年) | 厚生労働省HP:第36回介護福祉士国家試験合格発表 |
アスレティックトレーナー | 理論試験20~30%前後の傾向 実技試験70%前後の傾向 | ※公式未公表 参考:ユリーカスポーツ|最新版JSPO-AT検定試験合格率|理論試験と実技試験の合格率 |
トレーニング指導者資格(JATI-ATI) | 50%~90%程度 | JATI-日本トレーニング指導者協会HP:JATI認定とレーニング指導者(JATI-ATI)認定試験の合格率 |
メディケアトレーナー | メディケアトレーナー養成アカデミー卒業時に発行 | JMTA一般社団法人メディケアトレーナー協会HP |
ダブルライセンスを取得するための道のり
ダブルライセンスを取得する一般的な方法として、一方の資格を取得後、もう一方の資格取得を目指して勉強する方法があります。
たとえば、一方の資格を取得し、昼間は勤務して実務経験を積み、夜に専門学校に通うケースなどが挙げられるでしょう。
また、『柔道整復師&鍼灸師』や『柔道整復師&アスレティックトレーナー』など、2つの資格を同時取得を目指せる専門学校もあります。
『柔道整復師&鍼灸師』を取得する場合、学費減免制度が利用できる学校もあり、取得までの期間と費用を抑えることが可能です。
まとめ
柔道整復師の資格取得後、たとえば「整体院」を開業する場合は、実務経験や施術管理者研修の受講は必要ありません。
保険診療を取り扱う「整骨院・接骨院」を開業する場合に、
- 柔道整復師
- 実務経験
- 施術管理者研修
の3つが必要となります。
競争が激しい昨今、柔道整復師としての施術にとどまらず、身体に対してより多角的なサポートを可能にすることで周囲との差別化を図れます。
今後、自分が特化していきたい道を考えつつ、取得する資格を検討してみるといいでしょう。