整骨院業界は今、廃業ラッシュという厳しい状況に直面しています。
だからこそ、地域住民に頼られる整骨院になることは、生き残るための重要な経営戦略と言えるでしょう。
特に、コロナ禍の外出自粛や移動制限により、遠方への通院を避ける傾向が強まり、地域密着型整骨院の強みを改めて認識した方も多いのではないでしょうか?
感染拡大という不安な状況下で、日頃から地域の方々と築いてきた信頼関係は、患者さまに安心感を与えたはずです。
近隣住民にとって通いやすく、信頼関係が築かれていること。
これは、リピーター確保、そしてコロナ禍のような非常事態にも強い経営基盤を築く強みです。
短期的な売上だけでなく、長期的な安定経営にも欠かせないポイントと言えるでしょう。
では、地域に根ざした整骨院づくりのためには、具体的に何ができるのか?
事例とともに、必要な取り組みを紹介していきましょう。
今回は、整骨院の地域密着型経営について、治療院・パーソナルトレーニングの店舗運営のサポートを行っているJMTA(一般社団法人日本メディケアトレーナー協会)が解説します。
これから開業する方、地域密着型を目指していきたい方は、ぜひ参考にしてください。
トレーニング事業への参入をお考えですか?
- 思うように集客できない
- 一見客が多く頭打ちになっている
- 競合と差別化したい
このようなお悩みはぜひJMTA(一般社団法人日本メディケアトレーナー協会)にご相談ください。
整骨院・整体院経営からトレーニング事業に参入したノウハウをお伝えいたします。
地域住民との関係を築いていくためには?
整骨院が地域住民と信頼関係を築いていくための取り組みは、開業前から始められます。
関係性を構築するための取り組みについて、紹介していきましょう。
地域に溶け込むには「地域を知る」ことから
地域の住民に必要とされる整骨院づくりのためには、まず「地元を知る」ことが大切です。
- 地域の人口構成
- 年齢層
- 主要な産業
- イベント
- 名所
などの情報を調べ、地域の特徴を把握しましょう。
また、開業前には実際に候補の地域を歩き、
- どのような人が住んでいるのか?
- どのようなお店があるのか?
- どのようなイベントが開催されているのか?
など、街の空気や風景、人の表情を五感で感じながら自分の目で確かめます。
できれば、その地域の人と話してみることもおすすめします。
地域の人と会話をすることで、地域の雰囲気やニーズ、相性などを肌で感じ取ることができるはずです。
地域イベントや活動への参加でつながりを強化
地域のイベントや清掃活動などに積極的に参加することで、地域住民との接点を増やし、顔見知りになる機会を増やしましょう。
地域のイベントでブースを出展することは、整骨院の認知拡大にもつながります。
無料体験施術、健康相談、姿勢チェックなど、気軽に利用できるサービスを提供して体験してもらうとともに、地域住民とのコミュニケーションを図るといいでしょう。
商店街、自治会、スポーツクラブ、学校、老人会などと連携し、イベントの共同開催や情報発信の協力をすることで地域とのつながりを強化するのもおすすめです。
長期的な視点でコツコツ信頼を積み上げる
地域の人々から信頼を得るには、継続的な活動によって関わりを持ち続けることが重要です。
大変かもしれませんが、一時的なイベント参加だけで満足しないようにしましょう。
また、本業で満足してもらえる施術を提供し続けることも忘れてはいけません。
地域住民の口コミは、新規患者の来院にも大きく影響します。
日頃から丁寧な施術とコミュニケーションを心掛けて、良い口コミが広まるように努めましょう。
こうした努力は、すぐには実を結びません。地域住民との信頼関係は、時間をかけて築き上げていくもの。長期的視点を持ち、焦らず、じっくりと関係を深めていくことを念頭に置いておきましょう。
整骨院の地域貢献活動の取り組み事例を紹介
地域の信頼獲得は、一朝一夕にはできません。日頃からの活動で、コツコツ積み重ねていく必要があります。
そこで、地域に信頼される整骨院づくりのために行われている、地域貢献活動の例を紹介しましょう。
健康講座・セミナーの開催
地域の公民館や集会所などで、腰痛予防、肩こり解消、姿勢改善、生活習慣病予防など、健康に関する講座やセミナーを開催する取り組みです。
たとえば、
- 高齢者向けに転倒予防のための体操教室や介護予防教室
- 子ども向けの姿勢セミナー
を開催する事例は多いです。
学校やスポーツチームへのサポート
地元の学校やスポーツチームと連携し、スポーツ外傷の予防や応急処置、コンディショニング指導なども行われています。
部活動の練習にトレーナーとして参加したり、スポーツイベントで救護ボランティアとして活動する事例もあります。
介護施設等への訪問施術・機能訓練指導
介護施設や会場に訪問し、施術や機能訓練指導を行う活動も行われています。
介護予防のための運動方法や、日常生活動作(ADL)の維持・向上を目的としたリハビリテーションなどが提供されています。
「こども110番の家」への登録
こども110番の家に登録しているお店は、整骨院に限らず多いです。
地域の子どもたちの安全を守る活動をしつつ、地域からの信頼も得られる効果的な取り組みと言えるでしょう。
全国柔整鍼灸協同組合でも、こども110番の家への登録を推進しています。
こども110番の家とは?
子どもたちが危険を感じたり、犯罪等の被害に遭ったりしたときに逃げ込める場所のことです。
助けを求めてきた子どもを保護し、警察等へ連絡するなどして子どもの安全を守るボランティア活動です。
災害時における応急処置・支援活動
地震や水害などの災害発生時に、避難所などで応急処置や身体のケアなどの支援活動を行う取り組みが行われています。
この事例の詳細については、以下のサイトをご覧ください。
内閣官房ホームページ|避難所生活者を支援する災害派遣柔道整復チーム(DJAT)の創設
地域の特性やニーズに合わせた施術・サービスを提供する
地域密着型を目指すなら、地域の特性やニーズに合わせた施術を提供することも重要です。たとえば、
- 地域住民の生活スタイル
- 年齢層
- 抱えている身体の悩み
などを考慮し、その地域特有のニーズに応じた施術メニューやサービスを提供することです。重要なのは、地域住民の声に耳を傾け、どのようなサービスを求めているのかを把握することです。
アンケート調査を行ったり、地域イベントに参加して意見を収集するなど、積極的に情報収集を行い、サービスに反映させていくといいでしょう。
年齢層に合わせた施術・サービスの例
その地域のニーズに合わせて提供する施術・サービスを考える場合の例を紹介します。
高齢者が多い地域の場合
- 変形性関節症、腰痛、膝痛などの高齢者に多い疾患に対応したリハビリプログラムを提供する
- 日常生活動作(ADL)の維持・向上を目的とした機能訓練や、転倒予防のための運動指導などを積極的に行う
- 通院が困難な高齢者向けに、自宅や介護施設への訪問施術を行う
- 地域包括支援センターなどと連携し、介護予防を目的とした教室やセミナーを開催する
子育て世代が多い地域の場合
- 出産後の骨盤の歪みや体調不良に対応した施術を提供する
- スポーツによるケガ、成長痛、姿勢矯正など、子供特有の症状に対応
- 院内にベビーカー置き場を設置したり、バリアフリー設計にするなど、子連れで来院しやすい環境を整える
オフィスワーカーが多い地域の場合
- 肩こり、首こり、眼精疲労など、デスクワークで起こりやすい症状を改善する施術を提供する
- 仕事の合間にも施術を受けやすいよう、短時間で終わるメニューを提供する
- 営業時間を夜にずらしたり、土日祝日も診療したりするなど、オフィスワーカーが通いやすいように配慮する
地域密着型として効果的な集客方法とは?
地域密着型を目指す整骨院がとるべき効果的な集客方法は、オンラインとオフラインの両方をバランス良く活用することです。
地域住民との信頼関係を築きながら認知度を高めていきましょう。
オフライン集客5選
地域密着型ビジネスに欠かせないオフライン集客では、地域住民との直接的な接点を持ち、信頼関係を築いていくことが重要です。地域との一体感を高めて、集客につなげる5つの方法を紹介します。
チラシ・ポスターの活用
ターゲットエリアを絞り、目を引くデザインと分かりやすいメッセージで情報を届けましょう。
近隣の住宅へのポスティング、商店への設置依頼、駅周辺での配布など、何度も配布して認知を広げることがコツです。
地域のイベントに合わせて配布することでも、注目を集めやすくなるでしょう。
地域イベントへの参加・出展
前述したとおり、地域のイベントや清掃活動などに積極的に参加し、地域住民との接点を増やしましょう。
口コミの活用
良い口コミが広がれば、地域での信頼性が高まります。
住民同士の口伝えで広がる口コミはもちろんですが、インターネットに口コミを書いてもらうためのキャンペーンや、口コミサイトへの登録なども有効でしょう。
紹介カードの活用
既存の患者さまに紹介カードを渡し、新規患者さんを紹介してもらうことで、集客につなげます。紹介者と紹介された人の双方に特典を用意することで、紹介のモチベーションを高められるでしょう。
フリーペーパーや地元メディアへの掲載
フリーペーパーや地元メディアへの掲載は、地域住民への認知拡大に効果的です。取材を受けて掲載してもらうことも可能です。
こうした方法による集客効果は一時的かもしれませんが、来店動機を作るには十分です。地元のWEBメディアにホームページのURLを掲載してもらえば、SEO対策にもなるでしょう。
オンライン集客4選
地域密着型ビジネスにWEB集客はあまり重要ではないと思う方もいるかもしれません。
しかし、令和3年版消費者白書によれば、今やインターネットを利用して情報収集を行う人の割合は、60歳代までで約9割、70歳以上でも約8割にのぼります。
田舎に開業予定だとするなら、競合が少ない分、なおさらWebを活用できるでしょう。取り組みたいオンライン集客方法を紹介します。
出典:消費者庁WEBサイト|令和3年版消費者白書|第1部 第2章 第2節 (2)インターネットを介した様々な行動の変化
Googleビジネスプロフィールの登録
地域密着型でまず欠かせないのがGoogleビジネスプロフィールの登録と運用です。
店舗情報、営業時間、写真、口コミなどを充実させて、地図検索で上位表示されるようにしましょう。
詳しい運用については、以下の記事をご覧ください。
ホームページの作成
ホームページを作成して、整骨院の基本情報、施術内容、料金、アクセス方法などを分かりやすく掲載します。
また、地域名や症状名などのキーワードで検索した時にホームページを見てもらえるよう、SEO対策を行いましょう。
地域密着の整骨院であることを明確にアピールするのもおすすめです。
SNSの活用
Facebook、Instagram、LINEなどのSNSは、地域密着型ビジネスにも活用できます。整骨院のお知らせ、キャンペーンなどの情報を発信しましょう。
また、地域のイベント参加の情報や地域ならではの話題なども投稿することで、親しみを持ってもらえます。
地元ネタを通じて、地域住民とのつながりを深めましょう。
リスティング広告やSNS広告の活用
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、特定のキーワードで検索したユーザーに対して広告を表示します。
地域ターゲティングを設定することで、近隣住民に効率的にアプローチできるでしょう。
まとめ
地域密着型整骨院を目指すには、
- 地域を知ること
- イベントや貢献活動にコツコツ参加する
といった活動で、地域住民との関係を築いていきましょう。
また、地域の特性やニーズに合わせた施術・サービスを提供することも肝心です。
地域密着型経営といえど、WEBを活用したオンライン集客の強化も重要です。
オフライン・オンラインの両面から、地域住民にアプローチしていきましょう。
地域に長く愛される整骨院になることは、安定経営の道でもあります。
あなたの整骨院は、あなた一人では成り立ちません。
地域とのつながりを重視し、住民に頼られる整骨院づくりを行っていきましょう。