「パーソナルジムを開業したいけど、何から手を付ければいいかわからない。」
「どのような準備や手続きが必要?」
「開業に失敗したくない。必要なことを知りたい。」
このように考えている方へ向けて、パーソナルジム開業で必要なものについてご紹介しましょう。
この記事では、パーソナルジム開業に必要なもの、物件・設備の選び方、その他必要な細々とした物、開業に必要な手続きについて解説します。
これからパーソナルジムを開業したいと思っている方、パーソナルジム開業には具体的に何が必要かを知っておきたい方は、ぜひ参考にしてください。
パーソナルジムの開業に必要なものとは?
何事も、準備もなしに「いきなり独立開業!」というわけにはいきません。
まずはパーソナルジム開業に必要な、資格・スキル・資金について解説していきましょう。
開業に資格は必須?
資格の有無は、パーソナルジム開業に必須ではありません。
しかし、資格を取得しているほうが、顧客からの安心感と信頼を得られるパーソナルトレーナーとして選ばれやすくなるでしょう。
また、未経験のパーソナルトレーナーに指導を受けるとなると、お客さまは不安になります。
パーソナルトレーナーとしての経験・実績は、自分のジムへの信頼感を高めるために欠かせません。
なお、開業してからはジム運営に追われて資格の取得が難しくなるので、独立前に資格を取得しておくことをおすすめします。
独立に必要なスキルとは何か?
パーソナルトレーナーの独立開業に必要なのは、トレーナーとしての知識や指導スキルだけではありません。
利益を出せるパーソナルジム経営をしていくためには、集客や経営に関する知識を身に着けておくことが大切です。
また、経営において重要な、税務や法務の基本知識を習得しておくといいでしょう。
顧客のニーズを理解し、対応するためには、適切なコミュニケーションを取れる能力が必要です。
選ばれるパーソナルジムを築くためにも、今から営業・接客スキルの向上に投資することをおすすめします。
開業資金はどのくらい必要になる?
パーソナルジム開業に必要な資金の目安と、資金の調達方法を紹介していきましょう。
開業資金の目安
初期費用の目安は300万円〜400万円、
ランニングコストの目安は月30万円〜80万円ほどです。
始めは赤字続きも珍しくないので、ランニングコストは6ヶ月分確保しておきましょう。
ここに加えて、自身や家族の生活費も準備することをおすすめします。
資金の調達方法
ある程度の自己資金は貯めなければならないものの、合計で1,000万円近くする開業資金を、すべて自己資金で用意できる方は多くないでしょう。
資金調達の方法をいくつか紹介します。
日本政策金融公庫の融資制度
パーソナルジム開業にうってつけなのは、日本政策金融公庫の融資制度の利用です。
比較的審査が通りやすく、新創業融資制度では無担保・無保証で借り入れできる上、低金利です。
フランチャイズ契約を利用して開業資金を抑える
フランチャイズ契約を利用して開業費用を抑える方法もあります。
フランチャイズ契約の場合、加盟料やロイヤリティを支払わなければなりませんが、本部の知名度を利用できるので集客に有利です。
会社によっては、加盟金や物件費用等を含めた初期費用を半額以下に抑えることも可能です。
また、サポート体制が整っているので、パーソナルジム経営に必要なノウハウの提供を受けられます。
ただし、自分で起業する場合に比べて自由度が低くなる点は留意しておきましょう。
なお、サポート内容は会社によって異なるため、慎重に検討する必要があります。
助成金・補助金の活用
政府や自治体の助成金・補助金を活用する方法もあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
物件・設備はどうやって選ぶのか?
物件・設備はどのようなことを考えて選ぶのがいいのでしょうか?
ここでチェックしておきたいポイントを説明していきましょう。
地域の選定のために周辺状況を調査しよう
パーソナルジムのメインターゲットとなる層が多く住んでいるかどうかを把握することが大切です。
地域の世帯年収や年齢層などの情報をチェックしておきましょう。
都市部の商圏範囲は1~2km、郊外では車で10分~15分程の距離です。
その地域で開業して集客が見込まれるかどうか、商圏範囲の競合調査を行うことも欠かせません。
物件を選ぶ際のチェックポイント
パーソナルジムはマンションの一室でも営業が可能ですが、マンションを借りる時は条件を吟味しないと、トラブルのもとになりかねません。
物件探しの際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- SOHOタイプなど、パーソナルジムの利用が可能かどうか。
- 鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造などの防音性が高いマンション
- トレーニングマシンの設置が可能な耐荷重があるかどうか(一般的にマンションは180kg、テナントビルで約300kgとされる)
- トレーニング器具が搬入できる広さかどうか、搬入経路はあるかどうか。
- テナント物件の場合は、居抜き物件かスケルトン物件か(居抜き物件なら開業費用を抑えられる)
なお、1階の店舗は視認性が高く、人目に付くので安心して入りやすいというメリットがあります。
集客力や売上を重視したいなら、1階の物件を検討することをおすすめします。
マシンの導入をする場合に考えたいこと
トレーニングマシンを導入する場合、家庭用か業務用かで費用が異なります。
パーソナルジムに導入するマシンであれば、大がかりなマシンは必要ないでしょう。
とはいえ、マシンの購入には運送費のほか、組立設置費用が発生する場合もあります。
もし、新品を用意するのが難しい場合は、リース契約やレンタルを検討してみましょう。
経営が軌道に乗ってから、新品を購入する手もあります。
中古のマシンは安全性に不安があるため、おすすめできません。
マシンの質は顧客満足度にも繋がるポイントです。
お客さまの安全や店舗の評価等、総合的に考えて信頼できるマシンを導入するのが一番でしょう。
その他必要なものは?
パーソナルジム運営には、事務用品やレンタル用品、決済端末や家電などの用意も必要です。
- 机と椅子
- パソコンやコピー機などのOA機器
- 決済端末
- レンタル品(タオル・シューズ・ウェア)
- 洗濯機
- 清掃用品
- ウォーターサーバー・音楽機器など(必要に応じて)
こうした細やかな部分にも何かと費用がかかる点には、留意しておきましょう。
開業に必要な手続きは?
個人事業主としてパーソナルジムを開業する場合の、基本的な届出一覧は以下のとおりです。
届出の種類 | 提出先 | 提出期限 | 備考 | 参考 |
開業届 (個人事業の開業・廃業等届出書) | 税務署 | 事業開始日から1ヶ月以内 | 国税庁HP「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 | |
個人事業開始申告書 | 各都道府県税事務所 | 各都道府県の定めに従う | 東京都主税局HP「事業を始めたとき・廃止したとき」 | |
青色申告承認申請 | 税務署 | 事業開始日から2ヶ月以内 | 国税庁HP「A1-9 所得税の青色申告承認申請手続」 | |
防火対象物使用開始届 | 消防署 | 使用開始の7日前までに提出 | 間取りの変更など工事を行う場合は、防火対象物の工事等計画の届出も必要 | 東京消防庁HP「防火対象物の使用開始の届出をしよう」 |
公衆浴場営業許可申請 | 保健所 | 申請書提出から許可までおよそ2~3週間 | シャワールームを設置する場合に届出が必要 | 厚生労働省HP「公衆浴場法概要」 |
食品営業許可申請 | 保健所 | 申請書提出から許可までおよそ2~3週間 | プロテインの提供など食品を取り扱う場合に届出が必要 | 厚生労働省HP「食品」 |
このほか、ジムの設備・規模等によっては都道府県および市町村役場への届出が必要になることがあります。(建築基準法・都市計画法)
なお、一般的には個人事業主からのスタートが推奨されます。
法人化については、利益を安定して出せるようになってから検討するといいでしょう。
もし、最初から法人化する場合は、より複雑な手続きが必要になります。
すべてを1人で行うのは難しいので、行政書士や司法書士などの専門家に依頼することになるでしょう。
青色申告がおすすめの理由
青色申告の最大のメリットは、10~65万円の特別控除を受けられる点にあります。
- 単式簿記による記帳では控除額10万円
- 複式簿記による記帳を行い、最終的に損益計算書と貸借対照表を作成して申告書類と共に提出することで控除額65万円
また、その他にも、次のメリットがあります。
- 赤字を3年間繰り越し可能
- 30万円未満の資産を取得した場合、全額経費に計上できる
- 家具や電気代なども経費になる(自宅兼事務所の場合)
- 家族への給料を経費にできる
ただし、事前の申請(青色申告承認申請手続)が必要で、提出しなければならない書類が多く、複式簿記による記帳が必要など、白色申告より複雑な点がデメリットです。
とはいえ、メリットのほうが大きいので、税理士への依頼を検討するといいでしょう。
まとめ
健康志向の高まりや個別ニーズへの対応が求められる昨今、パーソナルトレーニングの需要は拡大傾向にあります。
将来性が高く、開業費用も他の業種より比較的低予算であることから、自身のパーソナルジムを持ちたいと考えている方も多いでしょう。
開業して失敗のリスクを軽減するためには、しっかりと準備を行うことが肝心です。
先のことを見越した上で、コツコツと事業計画を立てていきましょう。
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